「音階」と「12平均律」

音階が全て「全音の間隔」で並んでいれば話は早いのですが…
そうはなっていません。最初から「ミ~ファ」そして「シ~ド」だけは半音になっている… なぜそうなったのか?

これを調べてみると「音節としてまとまりがあり終止感を得られる」とか「音楽的に心地よい配列」などと説明されています。実際に音を出して聴き比べてみても「ドレミファソラシド以外の並び」では、どうも中途半端な感じがします。ちなみに「ラ(A)」から始めた場合は、それなりの「終止感」が有るのですが「印象が暗い」。なので、こちらは「マイナーキーの音階」とされています。
そしてもう一つ大事なことがあります。1オクターブを12等分したその1つ分が「半音」になるという事。この「等分する」というところがミソで、これは『12平均律』と呼ばれています。
このシステムのおかげでキー(調)という概念が成立しました。
半音の間隔が均等に並んでいるので何処から音階を始めても、また和音を形成しても「それぞれの高さで同様の流れや響き」になる。出発点がどうであれ「全音-全音-半音-全音-全音-全音-半音」という間隔通りに音を鳴らせば「ドレミファソラシドと聞こえる音階が弾ける」という訳です。
なので、12個のキー(違う音の高さ)を設定できますが「元の曲自体は変わらない」これこそが「12平均律」最大のメリットです。そして「トランスポーズ(移調)」の原理でもあります。
また「移動ド」の考え方にもリンクします。
1オクターブ(半音12個)の周期をサークルとして、その中をトランスポーズダイヤルが回るというイメージです。青い星印が「メジャーの主音」、ダイヤマークの位置が「マイナーの主音」を表していて、突起しているポイントは音階の構成音です。右に出て来る楽譜は「調号」と「そのキーの主和音」となっています。
動画再生してみてください… このように等間隔でズレて行き、そしてまた戻る…
「キー(調)の仕組み」はこんな感じかと思います。
このシステムを利用したのがカラオケの「キーチェンジ」ですね。
自分の音域にキーを合わせるとか… 異性の楽曲を歌えるキーに変更するとか…
移調楽器の練習で利用するとか… トランスポーズの練習に使うとか…
キーの仕組みを理解していれば、とにかく便利な機能です。
スマホのアプリでも利用できるので「練習のお供には最適」だと思います。
まとめると「12平均律のおかげ」で何処からでも同じ流れや響きを作れることになった。そして曲の途中からでも「キーの乗り換え(転調)」が可能になった。もちろん1曲まるまる高さを変える「移調」も出来る。また「調号」によって楽譜のキーを設定できる様にもなった… そんなこんなで「キーが自由に移動できるシステム」が構築されたという訳です。
また、12音全てにキーを設定できますが「異名同音」も存在するため(F#=G♭など)キーの数は12個では終わりません。その上メジャーとマイナーの概念もあるのでまた2倍になる… こうなると「移動ド」の考え方はとても合理的に思えてくるのです。
「全音」と「半音」

音楽を理論的に理解しようとする時に「外せない」のが「音程」という概念です。
まず基本となるのが「全音」と「半音」。
全音は半音が二つ分と同じ距離になる。
英語でいうと「インターバル(interval)」
やはり「間隔」という意味ですね。
それから「完全5度」とか「長3度」や「短3度」とかの専門分野に入って行く訳ですが、
それはまた別のブログで紹介しようと思います。
音楽で表現される「明るい(メジャー)」とか「暗い(マイナー)」とか、そういった感覚や世界観は「様々な音程が、どう混ざり合うか… どう流れるか…」でほぼ決まります。
「音程を理解する」とは「音と音との距離感を認識する・把握する」といった感じでしょうか…
音楽理論の中でも「音程の話」は頻繁に出てきます… 音楽を勉強する上で避けて通れない…
でも理解できてくれば「本当に便利で有難い知識」となります。
そもそも「ドレミファソラシド」って何語なのか? 実はイタリア語です… 英語なら「CDEGFABC」となる。なので「ドレミファソラシド」と「CDEGFABC」は同じ意味です。
ちなみに日本語では「ハニホヘトイロハ」となりますが、なぜ「イロハニ・・・」とならなかったかのか? これは英語と対比させれば分かりますよね…
するとまた疑問が… なぜ途中のラが「A」になっているのか?
ちなみに楽器をチューニングする時も「440Hz」の「A(ラ)」に合わせるとか…
時報の「プ・プ・プ・ピーン」というのも実は「A(ラ)」の音だったり…
また他にも、赤ちゃんが産まれた時の最初の泣き声も「ラの音⁉︎」だなんて説まであります。
(真偽の程は分かりませんが)
とにかく世界的に「A(ラ)」の音は「基準となる重要な音」に位置付けられている様です。
調号について

調号を覚える時の「定番フレーズ」があります。
#系が「ファドソレラミシ」♭系は「シミラレソドファ」。
ちなみに、#系の逆さ読みが、♭系の順番になっています。
このように「#系・♭系」それぞれにつき方の順番が決まっている。なので「♯3つ」とか「♭4つ」とかの言い方でも通じます。Dメジャーなら「シャープが2つ」Gメジャーなら「ファの#だけ」とか、Cマイナーなら「♭が3つ」という感じです。
上記の「トランスポーズダイヤル」に調号も併記しましたので参考にしてみてください。
「異名同音」で調号がダブっているものや「ここは1つだけ?」という調もありますが、とにかく「調号」は、このように12個の半音を「2-2-1-2-2-2-1と並べるため」に使われます。
また調号からキーを割出す方法なんかも色々あって人により様々ですが…
私の場合は「最後の#の一つ上がメジャーの主音」で、
♭系は「最後から2番目の♭の位置がメジャーの主音」だと覚えています。
♭が1つしかない場合は「♭が1つならFメジャー」と例外処理をします。

普通「調号」を見ると「ドレミファソラシド」の中の「どれに#や♭が付くのか」という「演奏上の注意事項」になりがちです。しかしそういう観点で楽譜を見てしまうと「#」や「♭」の数が増えれば増える程その難易度も上がって行きますよね… でも「自由にトランスポーズができる人」の頭の中はそうではなかった! 自分の楽器上で「2-2-1-2-2-2-1の間隔」をしっかり理解していればどの音からでもキー(調)を作る事が出来る… 主音さえ決まれば#や♭は必然的に付いてくる… そんな思考回路だと思うのです。すると調号は『注意事項』なんかでは無く「主音はどこなのか?」という観点となる。なので「難易度」とは違う次元に行けるのでしょう…
メジャーとマイナーについて
とりあえずメジャー(長調)は明るい調で、マイナー(短調)は暗い調と定義されています。
「ドレミファソラシド」は「メジャースケール」。その中のラから始めた音階「ラシドレミファソラ」が「マイナースケール」と呼ばれマイナーキーの基本的な音階となります。
つまり「同じ音階からメジャーとマイナーの音列を拾える」、なので共存しているとも言えます。
「元の音階が同じ」なので「調号も同じ」で変わりません。

そしてこの2つのスケールは平行に並べることが出来ます。
なのでこのCメジャーとAマイナーとの関係を「平行調」と呼びます。

しかし同じスケールの延長線上に存在するので、
この2つを別の調とは見ずにCメジャーの中の一部分とする見方もある様です。
(音楽理論的な解釈の仕方でケースバイケースになります)
ちなみに、CメジャーとCマイナーとの関係は「同主調」と呼びます。
ルートが同じ「C」なので「同主」となりますが、基本となる音階のキーが違うのです。
なのでこの場合の「調号は別のもの」になります。

ただ、ジャズの世界では「マイナーキーという概念」がクラシックの世界よりはかなり薄い気がします。むしろ「メジャーキーの6度から…」という解釈の方が実用的とされる様です。
実際に曲をアナライズする場面でも「Amをマイナーの1度」で考え始めると…
「Cは3度」「Fは6度」とかになってかえってややこしい!
やはり「Cは1度」「Fは4度」の方が感覚的にもしっくり来ます。
この辺りは考え方や感じ方で解釈が別れる様ですね。
特に「平行調」に関しては調号も変わらないので「メジャーキーの中の出来事」的な捉え方の方が理解しやすいかと私も思います。
ちなみに「万有引力の法則」で有名なニュートンさんは、可視光の色を「音楽の音階」に当てはめて「7色」と決めたそうです。「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」に対応させて「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」というように… これは「虹」の七色と同じですよね。また「カラーサークル」と同じ様に周期となる… これは「オクターブの概念」とも一致します。
なので音楽は「自然現象とリンクしている」とも言える。また「コード」も「自然倍音」と密接な繋がりがあります。
そういった観点から「音楽は立派な学問」として、古代の学者さん達がこぞって研究をしています。ピタゴラスさんとかも有名ですよね「ピタゴラス音律」とか… ちなみに『12平均律』は「ピタゴラス音律や純正律を実用的に修正したもの」とされています。