楽譜はいらない…⁉︎

音に反応して指が動く?

セッションバーなんかに行けば、大抵「黒本」と呼ばれるジャズの曲集が置いてあって…
「どれにします?」みたいな感じでセッションが始まったりしますよね。

ところで初見奏ってどうですか…? 

私の場合は、クラシックの経験も長かったので譜面を見ながらなら「まあ、ある程度対応できるだろう…」などと思っていました。ところが周りの人たち(演奏者さん)は「殆ど楽譜を見ない」のです。あるジャズの先生が『楽器が本当に弾けるようになれば、楽譜なんて不要となる!』とか言っていたのを思い出して「えっ、みんなそういうレベルなの?」と焦ったのを覚えています。

なまじ楽譜が読めたりすると、ある意味条件反射で音が出せてしまうのです。
だから「弾けている」気になる… ところが、楽譜を取り上げられると全く対処できない。
これではまだまだ「ジャズメン」とは言えない様です。

楽譜に反応して音を出す」これは、クラシックやアンサンブルの世界ではとても有効な訓練です。しかし、ジャズの人達はそもそも楽譜を見ない。『楽譜を見る時は、音楽が身体の外にあって、ジャズをやる時は、音楽が身体の内にある…』これもあるジャズメンの言葉ですが『楽譜に反応して指が動くのではなく自分の中にある音楽に反応して指が動く…』これこそが『楽器を奏でるということ』なのだと…

「なるほど!」と思いました。それからは練習法が変わります。
まず「弾きたいフレーズ」が先にあること… この時点で音楽は「身体の内」にあります。
それを外に引っ張り出す… そのために必要な音と運指がある。
あとは楽譜を見ないで音を繋ぎ、弾きたいフレーズに近づける
楽譜に記載されているであろう「音符」や「コードネーム」には頼らない
そんな中でコードのテンションを探ってみたり… より効率的な運指を考えてみたり… 
自分なりのリックを創ってみたり… と、

いやはや「老後の趣味」だった筈がエライことになってきました。

そういえば…

音大生… 特にピアノ科の学生さんには恐ろしい程の「初見能力」を持っている人がゴロゴロといました。楽譜に反応して指が見事に動くその反射神経たるや「常人ではない!」と驚愕したのを覚えています。
他にはレコーディングの現場ですね… スタジオミュージシャンの初見能力もまあ半端じゃない!もちろんプロなんだから… という話ですが、流石に「極めて」おられます。

現役の頃は、アレンジ(編曲)の仕事もしていたので、仕事の依頼を受けてアレンジした楽曲をスタジオでレコーディング… なんてこともありました。その当時には「写譜屋さん」というお仕事があって、私が書いたスコアー(アレンジ譜)をもとに、各楽器のパート譜を手書きで書き起こしてもらう… そんな時代でした。
今ならDTMソフトでアレンジをしてPCからプリントアウト… とかですよね。

忘れられない「録音初日」のお話。
何度かのテスト(リハーサル)をしてから「録音の本番」そんな流れなのですが… 
一発目のテストで「ほば完璧!」。
「この曲、どこかで聞いたことあります?」と本当にそう思いました。
仕事で依頼された未発表のオリジナル曲だったので「どこかで聞いた」なんて事は絶対に無い筈…
しかも、練習なしの初見ですよ… それで「このレベル…⁉︎」もう驚きの「初体験」でした。
そんなこともあってか「スタジオミュージシャン」には本当に憧れました。
クラシックの素養もジャズやポップスの感覚もしっかりと持ち合わせた「本物のミュージシャン!」という感じです。

ちなみに、さっきの「初見奏バリバリの音大生」ですが、それ程の演奏能力が有りながら、
こと「アドリブ」に関しては「そんなものは出来ません!」とキッパリ言い切ります。
育った環境というか、境遇というか… 同じ音楽の世界でもクラシック畑とジャズ畑とでは
その「育ち方」がこうも違うのか… と改めて感心する次第です。

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