緊張と緩和

ここで、少し強引な考えなのですが…
・トニック(T)
・ドミナント(D)
・サブドミナント(SD)
この「サブドミナント」の「サブ」を
「その2」と解釈すれば
「ドミナント(その2)」となります。
すると「トニック」と「ドミナント」だけの2つのカテゴリに大きく分けることが出来ます。
もう大分昔(昭和)の話になりますが「桂 枝雀」という天才落語家がいました。この人が折に触れ話していたのが「笑いは緊張と緩和や!」というフレーズでした。しかし「笑い」だけでなくほぼ全てに当てはまるキーワードだと思うのです。もちろん音楽も同様に、この「緊張と緩和」の繰り返しと言えます。ドミナントで緊張状態にあるフレーズが、トニックで落ち着き緩和される… この流れが基本となって様々なストーリーが展開されます。
曲の終わりが「G7~C」というのはごく普通のドミナントモーションですが、曲によっては「F~C」で終わるというのもあります。「F~Fm~C」という流れになれば更に終止感が増して「教会」をイメージする様な洒落た流れになります。クラシックでは「アーメン終止」なんて言われますが、最近は「エモい」とか言うみたいですね。通常この時の「F~Fm」は「サブドミナント」と分類されます。ですがこれを「ヒネリを入れた(洒落た)ドミナント」と解釈する訳です。
するとアドリブソロのアプローチが変化してくる…
つまりサブドミナントのフレーズはドミナントでも使えるとなって
「ドミナントモーション」のバリエーションが一気に増えるのです。
ただ「サブドミナント」は「別世界のトニック」みたいな世界観も出せるので
通常のドミナントとは分けたカテゴリで設定されています。
この辺りを下の「サブドミナントを考察する」でお話しようと思います。
ジャズの勉強を始めると必ず出てくるドミナントモーション… またそのバリエーションが多種多様でかなり頭を捻りましたが、要は「緊張状態」をどう表現するか?というセクションだった。
最初は異様な音の流れと感じたスケールの数々(オルタード・ディミニッシュ・HP5thビロウ・ホールトーン・リディアン7thスケール…等々)これらはそもそも緊張するための音だった!
そう考えると「異様な雰囲気を出していた音たちがキーパーソンとなる個性的なキャラ」に思えて来ました。またそれが「快感になって、クセになって…!」こうなって来るとジャズにハマった感が大分出てきますよね。
サブドミナントを考察する
ではサブドミナントとはいったいどういうセクションなのか?
ポップスなんかでもサビから始まる曲ってけっこうありますよね… この時のコードカテゴリは大抵サブドミナントです。
「いきなり盛り上がってます!」的なあの感じはサブドミナントの真骨頂でしょう。
さっきは「別世界のトニック」という言い方をしましたが「なんか色の違うトニック」という様な空気感・世界観を感じるのです。トニックの安定感とはまた違う躍動感がある… しかしこの「躍動感」はある意味「緊張感」も伴う感覚です。
なので「トニックでもないし… ドミナントっぽいけど… これはサブということで… サブドミナント!」みたいな感じでカテゴライズされたのかも… と私の勝手な解釈ですが。

キーCで「CM7」はトニックで、サブドミナントは「FM7」です。
コードの種類は同じ「M7」で和音の構造も同じ作りです。
なのでCM7のフレーズをそのまま完全4度上げて弾けばFM7でもハマります。

ですがG7ではハマらない。
そのまま完全5度上げると7thの音がぶつかる… これは和音の構造が違うためです。

しかし、さっきのFM7で弾いたフレーズなら、そのままG7でも使えます。

いかがですか? ちょっと洒落た感じになりますよね…
これはコードが「F/G」の響きとなってハマる訳です。
「Dm7/G」と考えてもOKなので、ここでのコードカテゴリは「ドミナント」となります。
この様に「F」と「G」が一緒になれる…「サブドミナントとドミナントは共存可能」となって、フレーズの使い道がかなり増すという訳です。
そして「CM7とFM7」の関係で見られる「構造が同じ」という観点では、トニックのフレーズとして使うことも出来ます。
つまりサブドミナントは「躍動感と緊張感と、またトニックの性質も合わせ持つ」という意味で「極めて多彩なセクション」だったということに… なので曲のサビなどには打って付けの世界観を醸し出すのでしょう。