状況によって態度が一変…

同じ「ド」の音でも「Cの中のドはRoot」で「Amの中にいるドは3rd」となります。コード理論をかじった方は、お分かりかと思いますが、これが「音の役割」となります。
では「ルート」ってどんな感じ?
また「3rdの感じは?」と聞かれたら…
それこそ「人によって違うしなぁ」的な話なのですが、しかし「その役割」に関しては「世界共通の概念」があるので、ここは押さえておかないといけないでしょう。
「Cの中のド」と「Amの中にいるド」とでは、同じ音ですが「状況が違う」のです。
なので立場もキャラも変わってくる… なんか人間でもいますよね…
「役職が変わると態度が一変した…」なんて奴(笑)、そんなお話です。
ではまず、和音の基本形「ドミソ」で考えてみます。
「ド」はRoot、「ミ」は3rd、「ソ」は5thとなります。
「Root」は『和音の中で、一番安定感があり、曲の最後などは根音(Root)で終わる楽曲が多い。
安定感とか終止感を表現したい時に使われる音… 』理論書にはそんな説明がされています。
「Root」の楽典的な日本語訳は「根音」…「基準になる根っこの音」という解釈ですね。
次に「3rd」なんですが、この音の役割はかなり大きい。
コードの基本的な響きを決めるキーノートになります。
メジャーコードとマイナーコードを分ける決定的な存在です。
アドリブのフレーズでも、この「3rd」の扱いはとても重要で、
「コード感を出したい時」などには特に欠かせない音ですよね。
そして「5th」。この音は比較的弱い立場になるかな… という音です。
コードの中では存在感が薄く、省かれたりすることも多い。
でもこれは「理論上」という話で、実際の使い道は多々有ります。
コードの構成音は、他にも「7th・9th・11th・13th」などがあって、全てルートを基準に重ねられて、「コードネーム」にはルートからの度数(音程)が数字で示されています。
ちなみに「15th」はオクターブを「2週廻ってのルート」となるので以降は有りません。
以前に用意した音源を「音楽理論的」に、「役割目線?」で見てゆくと…
メロディーは「ドレシド」という音の流れで、コードが「C・Dm7・G7・C」。
この時の「メロディーの度数」は「Root / Root / 3rd / Root」となっています。
「役割」で考えても「シンプルそのもの」。なので曲調も「かなり単調」です。
次の「暗くなった方」は、コードが「Am・Bm7♭5・E7・Am」に変わって、
度数は「3rd / 3rd / 5th / 3rd」と変化します。
ここで「音の表情が変わる」という現象は、コードの中で「ルートからの距離が変化」したことで「その立場が変わり、態度が一変した」という見方ができる訳です。
音楽は「ストーリー重視」という人は、こちらの方が理解しやすいかも知れませんね。
その使い道は?
ざっくりと音楽理論的な解説をしてみましたが、重要なのは「度数の役割とその使い道」です。
例えば「比較的弱い立場」とか言われている「5th」ですが、フレーズの最初や、最後でも「次のフレーズに繋がる感じ」がとてもあって使いやすい音でも有ります。
ちなみに、「A列車で行こう」の出だしの音は「5th」だし、
「酒とバラの日々」の出だしだって「5th」です。
この「5th」を長く伸ばしたり、引っ掛けたりすることで、
次に来るフレーズへの期待感や緊張感を演出できたりする、
けっこう使える音なのです。

特に印象的な響きがあった時に、このテンションの度数は何だ? とか、
様々な楽曲の、出だしの音は「どの度数?」とか、リックの出だしや着地点の「度数は?」とか…
こんな感じで「度数の個性や使い勝手」を意識出来るようになると「アドリブ」もかなり変わってきます。当然「印象的な響き」というのは、感覚的にも、記憶という意味でも頭にも残り易いので、先に「テンションコード」から覚えよう! というのもお勧めの練習法かと思います。
また「よくある練習例」で「コードとメロディーを一緒に弾く」というモノ…
メロディーとテンションの関係が「見えてくる」と色んな活用法やアドリブのアイデア、またバッキングのラインなんかも出てきます。ジャズギターの「ソロ演奏」ってカッコイイですよね… 市販の楽譜なんかも出ていますが、要はこの練習を楽譜にしてくれている訳です。
「俺ならこう行くけどな…」とか思いながらアレンジをして、自分なりの「手数」を増やせば「憧れのソロプレー」にも繋がる「かなり有意義な練習法」だと思います。
そもそも「度数」とは?

今までの話では「ルートからの距離」のことを「度数」と呼んでいた訳ですが、実はこの「度数」って、音程を表す「単位」なのです。なのでルートからの距離に限った話では無く、そもそも音と音の間隔「インターバル(音程)」を表す指標となります。
そんな訳で「音程についての知識」が先にないと理解し辛い、またイメージし難い… 教則本によっても呼び方が違ったり、解釈が異なったり… 例えば「♭13th」と「♯5th」はどう違う? とか「♭5th(ソ♭)」と「♯11th(ファ#)」はどう違う?など… 「異名同音」的な場面が出てきます。
最初は困惑すると思いますが、結局は自分が納得出来る自分なりの見解を持つ!という方が、逆に「自由になれる」かとも思います。
ただ「度数」は世界共通の概念なので、音楽仲間と「コードについての話」とかになった時には「欠かせない知識・常識」となります。そしてまた解釈や見解の相違について議論・論争するのも面白い… そういった意味でも「度数の把握」は「指の練習と共に」しっかりと勉強しておく必要がありそうですね。
好きなフレーズから「気になる響き」を分析して「このテンション好きなんだ!」みたいな感じで「お気に入りの度数」をストックしておくというのがオススメです。
そして「曲やフレーズに関連付けて記憶する!」この方がずっと効率的だし、また覚えやすい。
アドリブやバッキング、またメロディーとコードを一緒にプレーする「ソロ演奏」とか…
とにかく「色んな場面で活用できるスキル」になると思います。
「英会話に必要な単語は、受験で覚える数よりはずっと少ない」なんて話も有りますが…
これと同じ様に、度数全ての響きを理解しようとするよりは「好きなテンションだけで勝負する!」という方が「実戦的」だし「現実的」だろうという気がします。