この歳から音感を鍛える…⁉︎

なぜ私が「音感を鍛えよう」と思ったかは「ジャズのアドリブができない」でもお話していますが、どう考えても「ジャズの音感がないと越えられない壁がある」という実感からでした。
ここからは、その具体的な方法と、実際にやってみた感想や効果など… 試行錯誤の奮戦記と、自分なりのアナライズなどを紹介して行こうかと思っています。
さて、カラオケなんかに行って「聞き覚えがある」ぐらいの感じで曲を入れてもけっこう歌えたりしませんか? 特にサビの部分とか… 歌詞さえ分かれば何故かメロディーまで付いてくる。
実はこれって凄いことだと思うのです。これを楽器でやるにはかなりの演奏技術が必要でしょう…
キーチェンジをしても意外と瞬時に合わせられたり… でも声なら容易に出来ちゃうんです。
この能力こそが「相対音感」です。そして「普通に備わっている」ことの証明です。
でもその感覚や動作(歌える・声で音を取れる)は「ほぼ無意識」なので「どうして歌えるのか?」とはあまり考えませんよね…
私はこの「音を再現する動作」を意識的に使う、また演奏に役立る!
そんな音感トレーニングは出来ないか? と考えたのでした。
トレーニングの具体例
《 トレーニング ① 》
まずは「歌える曲」(フレーズ)を用意します。
とにかくしっかり覚えているフレーズなら何でもOKです。
今回は「歌う」にちなんで「シング」(カーペンターズ)にしてみました。
有名なイントロ部分のメロディーです。
「ランララ、ララーラ、ランララ、ララーラ、ランラン、ララララー」
これを「ドレミ・・・」に置き換える訳です。
現時点では答えを先に言いますね…
「ソーソミ、ソラーミ、ソーソミ、ソラーミ、ファーソー、ファミレラー」
となるのですが手元に楽器があれば確かめてみてください。

さて、ここで最後の音「ラ」に疑問を持たれた方…
「あれ… ソではなかったか?」
そうなんです。
このイントロは、同じようなフレーズが楽器を変えて2回出てくる…
「ソーソミ、ソラーミ、ソーソミ、ソラーミ、ファーソー、ファミレラー」
「ソーソミ、ソラーミ、ソーソミ、ソラーミ、ファーソー、ファミレソー」
となっていて「最後の音だけ」が違っているんです。

最後の音は「ソ」ではないのか? という疑問は…
「2回目のフレーズ」を記憶していたことによります。
このことも踏まえて、この「2つのフレーズ」をトレーニングします。
フレーズと音の名前が判ったところで、今度はこれを声に出して歌います。
しっかりと音程を付けて音の感触を明確にイメージします。
特に最後の音がポイントですよね… 「ラ」の方は次に繋がる感じがあって
「ソ」になると落ち着いた感じがします。
そんな「音の味わい」を意識しながらトレーニングして行きます。
トレーニングの効果が出てくると「音名を理解する」と言うよりは、
「音の方から名前を言ってくれる」そんな感じになって来るかと思います。
なので「そう聞こえる」の方がリアルな感覚かも知れません。
《 トレーニング ② 》
今度はフレーズのヒアリングです。
音源を鳴らしながら、さっき覚えた「階名」を頭の中で強く意識します。
「ランララ、ララーラ、ランララ、ララーラ、ランラン、ララララー」
これが音と一緒に…
「ソーソミ、ソラーミ、ソーソミ、ソラーミ、ファーソー、ファミレラー」
「ソーソミ、ソラーミ、ソーソミ、ソラーミ、ファーソー、ファミレソー」
と聞こえてくるまで何度もリプレーします。
ただし、この音の名前(階名)は「移動ド読み」なので実際のキーとは違います。
楽器で原曲と合わせる場合はもう一工夫しなくてはなりません。
(これについては、また別のブログで解説したいと思います)
《 トレーニング ③ 》
ここからは「応用編」になります。
さっき覚えた「フレーズ」を変化させて、
その違いを「認識・実感」できるようにトレーニングします。
注目するのはフレーズの終わり部分「ファーソー、ファミレラー」です。
これを変化させてバリエーションを作ります。
「ファーソー、ファミレドー」
「ファーソー、ファミレシー」
「ファーソー、ファミレラー」
「ファーソー、ファミレソー」
という要領で… 最後の音だけを置き換えてみます。

それぞれに「味わい」が違いますよね…
もちろん声に出して歌いながらその感覚を記憶します。
イントロのフレーズとして「なぜ”ファミレラー”が採用されたのか?」とか
「なぜ2回目は”ソ”に変更したのか?」とか…
そんなことを考えながらメロディーと向き合うのも大切なことだと思います。
《 トレーニング ④ 》
さて、今度は楽器を用意します。
私の場合は「ギター演奏の自由度を上げたい!」というのが最終的な目標なので、
このトレーニングをリンクさせないと意味がない訳です。
「歌う」トレーニングと共に「弾く」を加えます。
あのジョージ・ベンソンがやっていた「アドリブとスキャットの合わせ技!」です。
彼もこのトレーニングを「やり倒したのだろう」と私は勝手に想像していますが…
ここで違うのは「音名をつけて歌う・弾く」というところです。
ちなみにベンソンがスキャットで歌っている理由はいくつか考えられますが…
まずあれを「ドレミ(階名)」でやられたらかなりウザイですよね…
あとは「#・♭の問題」でしょう。これはちょっとややこしい話になるので、
また別のブログで解説しようかと思っています。
大切なのは「今から弾こうとしているフレーズと指の動きが、ちゃんとリンクしているのか?」
という確認です。これができるか否かで「アドリブ」そのものが変わってきます。
「そのために始めたトレーニングなのだから」この意識は常に持っておきたいと思うのです。