BLUE BOSSA

今回は「ブルーボサ」を題材として「練習してみた」という体でお話します。
まず、メロディーとコードは同時進行なので一緒に覚えて行きます。そして相対音感トレーニングも念頭に入れての練習になります。
オリジナルキーは「Cm」ですが移動ドで考えるため、ここでは「Am」で解説をします。

テーマの冒頭は「ミー ミーレドシーラー ソファーミーレー」というメロディー。
最初の「ミー」はアウフタクト(弱起)、そしていきなりオクターブ上がる。
この上った「ミ」から順に音が下がって行き、最後の「ミーレー」でまた「オクターブ上に飛ぶ」という音型です。

この跳躍がなければ「ミレドシラソファミレ」と単純に音が下がるだけの音型ですが、この跳躍によってフレーズの印象や勢いなどが一気に変わります。
ちなみに、映画「スターウォーズ」の有名なテーマ「ドーソーファミレドーソー」も
「ソーファミレド」という順次進行の最後の「ド」をオクターブ上に跳躍させている。
このことによる「緊張感や迫力が味わい深い」そんなことを思いながらフレーズと向き合っていれば「音を記憶する」という意味でも効果的が高いと思います。

さっきの「ミーレドシーラー ソファーミーレー」をフレーズ1として(弱起の音は省きます)
その続きをフレーズ2とします。音は「レードシラーソー ファミーレードー」。

これはフレーズ1を「全て1音だけ下げた形のフレーズ」になっていてとても覚えやすい!
またフレーズ1の「最後の音=レ」と、それに続く次のフレーズ2の「頭の音=レ」が「同じ音になっている」というところも注目ポイントです。
そしてここで「ちゃんとコードも把握」しておきます。
最初のコードは「Am7」で、音が跳躍する直前の「ファ」のところで「Dm7」。
次に来るのが「Bm7♭5」ですが、ここが注目ポイント…
「同じ音なのにコードの上で表情が変わる」というあの現象が起こります。
「Dm7の中のレ」と「Bm7♭5の中のレ」がコードと共にどうなったかを感じて記憶します。
この同じ音でフレーズを繋げるという手法は「ブルーボサ」の中で頻繁に登場します。
実は、フレーズ2の「レードシラーソー」と進んだ時の「ソ」に違和感がある…
コードが「E7」なので「ソ」はシャープするのではないか? というよくある疑問なのですが、教本などで確認するとやはりナチュラルの「ソ」が正解になっています。

「ソ♯」はE7の中の「3rd」でナチュラルのソになるとE7の「♯9th」という響きになる…
なのでこの場合は「E7の♯9thの音を使っているのか」と解釈します。
まあこんな感じで「一悶着ある」と印象に残って、返って覚えやすいのかも知れません。
また、オクターブ上に跳躍した「ミ」の部分は、コードネームで言うと「Dm9」となります。
この「〇m9」という響きは、すごく印象深い響きだし、またどこにでも出てくるお馴染みの響きだとも言えます。「マイナー曲の最後なんかは、このコード(〇m9)で終わるパターンが多いな…」とか今までの「経験や記憶に結び付けて」覚えて行けば音に対するセンスも抜群に向上するかと思われます。
さて、
フレーズ1:
「ミーレドシーラー ソファーミーレー」
フレーズ2:
「レードシラーソー ファミーレードー」
とフレーズが繋がって、次に出てくるのが
「トランスの術」です。

ここでも以前と同様に「最後の音を引き継いで、また同じ音からフレーズが始まる」のですが、
コードが「Cm7〜F7〜B♭M7」となってフレーズ3は「B♭キー」に転調しています。

Cm7のルート「ド」から下がってくる音型です。
調の変化に従って臨時記号も追加され「ドーシ♭ラ♭ソーファー ミ♭ミ♭ーレソーレファー」となる… こうなると若干読み辛いし、指の対応も遅れがちになると思います。
さあここでシンキングタイムです!
「B♭キー」に転調するということは…
・もとの「Cキー(=Am)」の半音2つ(全音)下のキーだということ。
・逆に、半音2つ分上げてやれば「Cキー」になる。
そこで(フレーズ3)を「Cキー」にトランスすると…
「レードシラーソー ファファーミラーミソー」となって臨時記号も全て消えます。

そしてCメジャーに変換したフレーズを全音1つ分下げてやると考える。
すると臨時記号は考えなくても勝手について来ます。
この考え方と動作の事を「トランスの術」と呼んでいます。
そして最後のフレーズ4は「ファーミソー ファーミソーファミー」。
実は「ここも転調のポイント」になっています。

このフレーズ4では、直前で転調しているキーを元に戻そうとします。
コード進行は「Bm7♭5~E7~Am」になっていて「Amキーのドミナントモーション」ですね。
コードとメロディーの響きも印象的で「ファーミソーファ」というフレーズが「Bm7♭5」と「E7」の上でほぼ同じ動きをします。ここでも若干フレーズの表情が変わっています。

E7の上で「ソ」の時は「♯9th」になるし「ファ」の時は「♭9th」のテンションになる。
「前にもE7♯9の響きはあったよなぁ…」とか思いながらフレーズとコードをセットで覚えておくとあとで必ず役に立ちます。
こんな感じでメロディーとコードと向き合って行く… またその都度理解を深めて行く。覚えたフレーズや響きは、また他の場面でも「再利用」出来ます。「トランスの術」も早い段階で身に付けておくと「本当に便利なアイテム」になります。「曲の中」でも「セッションの現場」でも「アドリブソロの中」ででも… この術の出番は山ほど有ります。