アイウエオ・かきくけこ

小学校で読み書きができるようにと最初に習う「あ・い・う・え・お」ですが、これには「大前提」があります。

それは「子供達はもう既に話せる」ということ… 音楽の世界でも真っ先に勉強するのが「ドレミファソラシド」ですが、この時ビギナーは「既に音楽で話せる状態」にあるのか…? つまりさっきの「大前提は満たされているのか?」というちょっと捻った視点でのお話です。

ジャズの勉強を始めると必ず出てくる「スケール」のくだり。「ジャズには様々な音階があって…」とか「アドリブには欠かせない知識」とか…  しかし、この時点でビギナーはまったくジャズ語をしゃべれません。私も最初は「意味不明」でした。

例えば… イオニアン(アイオニアン)・ドリアン・フリジアン・リディアン・ミクソリディアン・エオリアン・ロクリアンとか… これを私は「イドフリミエロ」と覚えましたが、さあこれに「何の意味」があったのだろう? でその「用途」は…? そもそも「様々な音階」ってどう使う…? またこれ「数が多過ぎだろう…」なんて突っ込みながら困惑していました。

「あい=愛」とか「あお=青」とか「うえ=上」とか「いえ=家」とか… これは「あいうえお」の音だけを使って、意味のある単語にしている訳ですが、これを整理して並べ変えると「あ・い・う・え・お」という音列が出来ます。
これと同じように「音階」も音楽のフレーズが先にあって、その中で「使われた音」を整理して、低い音から順に並べ変えると、例えば「ドレミファソラシになる」という理屈です。
つまり「音階」とは『フレーズに使う音のメンバー紹介』を意味しています。

なので、ある程度ジャズのフレーズが「先に頭に入っていないと」この音階の示す意味が、今ひとつ理解できないのです。特に「オルタードスケール」とか… 最初は「ホント意味不明な音の流れ」と思いました。そんな訳で、まずはネイティブのジャズを聴きまくって、とりあえず弾いてみて、そんな中で「フレーズ」そのものに興味が湧いてから… また、疑問が生まれてから… それからが「イドフリミエロ」や「様々な音階」だったのですね。

音階練習というと「そのスケールを下から上がって、また降りて…」こんなトレーニングを繰り返しますよね? もちろん「指のトレーニング」としては有効ですが、これが「会話」に繋がるかというとそうではない! ただ単に「アイウエオ カキクケコ…」と言っているだけです。
このスケールから「単語を導き出す作業」をして、はじめて「会話に結びつく」という訳です。
つまりスケール本来の用途とは、紹介された「音のメンバー」をどう扱うか? そのためのガイドラインだった。このメンバーの中から「意味のある」また「センスがいい」フレーズをどう作れるかが重要なポイントとなりそうです。

教則本には、必ず「EX(例題)」が載せられていますが、これは「一つのヒント」に過ぎないので、これを「その通りに弾けるかどうか」というよりも、これを「どう発展させるか」の方が大切な練習課題だと思うのです。自分が気に入るように… 自分が演奏しやすいように… 覚えやすいように… そんな自分勝手な改変は自由に、また大いにやるべきだと思います。

イドフリミエロ」も大分後になってから謎が解けて来るのですが、その話はまた後日… ということで。

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